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執筆者の写真慧 務川

3/13 一般質疑録(食料安全保障)

まず初めに、食料安全保障政策について質問します。

海外から安価に、安定的に食料や飼料が手に入る時代は終わってしまいました。

改めて、国内の農業は尊い。国や自治体が一丸となって支えなければならない。そう思います。

政府は「食料安全保障の確保」のために、農業の憲法と言われる「農業基本法」の改正案を4半世紀ぶりに今国会へ提出しました。

改正案では、国と地方自治体に新たな責務を規程しています。

「食料安全保障の確保」に努めること。

 

しかしながら、相模原市が推進しているのはあくまで「都市農業」です。食料自給率が200%を超える北海道とは農業基盤が根底から違います。市の都市農業と、法案が本市に求める新たな責務、「食料安全保障の確保」との間には、一見食い違いがあるように思えます。

都市農業推進しながら、食料安全保障の要請への対応を両立させる。この要請を契機に、どのようにして本市の都市農業をより良い形に発展させていくべきか、考える必要がありますので、伺います。


(1) 食料安全保障は「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態」との定義ですが、都市農業を特色とする本市がその役目を果たすことができるか、見解を伺います。


(2)また、今法改正では、食料安全保障の確保に向け、農業の生産基盤・経営基盤の強化を求めています。都市農業である本市の農業基盤を強化する意義について伺います。


(3)また「農業経営基盤強化促進法」は、昨年4月の改正法施行日から、地方自治体による農地集約化を強く求めています。今回の農政関連法改正案では更に、「農業経営基盤強化促進法」に基づき集約化した農地は、地方自治体が農振農用地として確保すべきと定めています。

この促進法が求める農地集約化の趣旨を改めて伺うとともに、農地の集約化を、本市ではどのように進めていくか伺い、1問目といたします。


<答>

(1)都市農業が果たす役割について

・県の令和3年度の食料自給率は2パーセントで、本市でも状況に大きな差はなく、直ちに高めることは難しい。

・しかしながら都市農業には、子供たちを含む多くの市民の食を支える地産地消の取組に加え、身近な農業体験、都市住民の農業への理解の醸成などの多くの機能があり、これらを有効に活用し市民生活に資することが、本市の都市農業が果たすべき役割であると考えている。

 

(2) 本市の農業基盤を強化する意義について

・多くの機能を有する都市農業を振興し、さらなる地産地消を進めるためには、農業従事者が安定的な収入が得られ、希望を持って営農できる環境とすることが重要。

・このため、効率的で高収益な営農を実現するため、農道等の整備や農地の集約化など農業基盤を強化することは、大きな意義を持つものと考えている。

 

(3) 農業経営基盤強化促進法への対応について

・同法改正の趣旨は、将来の農地利用の姿を明確化する「地域計画」を令和7年3月までに定め、農地の担い手を幅広く確保しながら、農地の集約化等を進めることとされている。

・今後、農業関係者等からなる協議の場を設け、地域の農業の状況等を共有しながら、本市の特性に即した地域計画を策定してまいる。

 

 





再質問です。「地産地消の確立」、「農業への理解の醸成」といった機能で、都市農業として食料安全保障に役割を果していく、まさにその通りかと思います。

①          地産地消の推進であったり、こどものうちから地域の農業の尊さを学んでもらうために最も有効な施策は学校給食での市内産品の消費であろうと思います。どれほど地産地消を推進できているか、市内学校給食の農畜産物の年間使用量と市内産の割合について伺います。


<答>

令和4年度の実績では、 野菜は約1,005トンの内、 市内産が約120トンで12パーセント。卵は約35トンの内、市内産が約23トンで66パーセント。お米は、市内産を安定的に提供していただくルートが整っていないことから、総使用量約384トンの内、 市内産が約2.4トンで 0.6パーセントとなっています。

 

②          鶏卵については、地産地消に大きく貢献していることはわかりました。対して、野菜・米は、市内産利用率は心もとない数字です。市内の農畜産物の生産量はどれほどか伺います。


<答>

・市内の農畜産物の年間の生産量は、米については、農林水産省の「作物統計」にると、昨年の生産量は385トン。

・鶏卵と野菜については、本市の生産量を公表している統計はないが、県の「飼育数」、「生産量」等の統計を用いて概数を試算したところ、

鶏卵の令和4年の生産量は概ね4,300トン程度、

野菜の令和3年の生産量は概ね9,300トン程度

ではないかと捉えている。

 

③           市内産の野菜9300トンの生産に対して120tの消費、米385tの市内生産に対して2tの消費ということで、学校給食に殆ど届いていないようです。中学校の給食全員喫食実現後には更にどの程度の使用量が創出されるか伺います。

<答>

現在、実施している デリバリー給食で使用している量に加え、 野菜が約400トン、 卵が約20トン、 お米が約90トン必要となる見込みです。



④           そうすると、令和8年度以降は野菜は1405t、米は474tを給食で消費する計算です。市内産の総算出量と規模は一致しますので、学校給食は農産物の大口の販売先となりえます。今後、更に市内産の農畜産物を活用する可能性はあるのか、またその上で課題があるか伺います。

<答>

市内産 農畜産物の活用は、食育上の効果のほか、輸送距離の縮減による環境面での効果も見込まれることから出来る限り多く使用していきたいと考えています。

使用拡大に向けては、市内産の農畜産物を天候等の影響を受けず、安定的に提供いただける環境の確保のほか、衛生管理上、給食調理当日の朝に市内54校の給食室へ配送していただく仕組みづくりなどが課題となっています。



要望です。

今、市が取り組んでいる「地場農産物の使用拡大に向けたモデル事業」に大きな期待を寄せております。市内農産物の流通システムの構築、引き続き宜しくお願い致します。学校給食が地産地消と食育を推進させ、食料安全保障の確保にも寄与する取組になることを期待します。



農業生産基盤の強化について再質問です。

米については、学校給食見込みの総使用量が474tに対して、市内産の米は385tでしたので、今後米の供給力を高めても、学校給食側はまだまだ買い取る余力があります。勿論数字上の話ではありますけれども。

供給力を高めるためにも、農地の集約化などで農業基盤を強化することが大変意義がありますので、答弁いただいた「地域計画」の策定、そして農地の集約化の促進を是非お願いいたします。

他方で、法律の要請とはいえ、農地所有者や耕作の担い手一人ひとりが考える農地の在り方は多様です。答弁にあった「協議の場を設ける」といっても、高齢化などによって、手続きは非常に困難となることが予想されます。

①          地域計画を作成できなかった場合、国から営農に係る支援が得られなくなるといった懸念はあるか伺います。

<答>

・地域計画策定実績と国の支援の関係については、これまで明確に示されたものはないが、過去に新しい制度が導入された際の例をみると、新たな制度への対応状況が農家が国からの財政支援を受ける際の評価点の対象となった事例もあることから、今回も、地域計画策定の有無が採択に影響を及ぼすおそれがあるものと考えている。


②    域計画策定マニュアルでは、昨年3月までに協議の場の設置区域の検討をすることが記載されていますが、市での現在の協議の場の設置や設置区域の検討状況を伺います。


<答>

・協議の場の設置や、設置区域の検討状況については、農業委員会や農協等と調整を進めており、現在、概ねの方向性の案が定まってきたところ。


③   やや取組が遅れているようにも思えます。域計画策定に向け、今後どのようなスケジュールで取り組んでいくのか伺います。


<答>

・今後のスケジュールについては、農業関係者等からなる協議の場を設け、地域計画策定の方針等を定める。その後、この策定方針に基づき、農業委員会とも連携して地域計画の案を作成し、市内農業関係者への説明を経て、令和7年3月までに計画を策定してまいる。


要望です。

見る人を魅了する田園風景を保全する意味でも、扱いやすい圃場を提供し、担い手を確保する意味でも、市内の安定的な食料供給という安全保障の確保に向けても、農地集約化は今後の農政の鍵を握る取組です。残り1年という迫った期限の中ですが、まずは本市の地域計画の策定を確実に進めていただくよう要望いたします。

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