これに関して
最近の厚労省社保審年金部会で興味深い資料が上がっています。
実質賃金(人・時間当たり)の主たる低下要因は「GDPデフレーターと消費者物価指数の差」(※)であることを示すものです。
※「内需デフレーターと国内品・輸入品総じた物価の差」
=輸入品に対する輸出品の価格決定力
=交易条件
財務総合研究所の研究会も指摘しています(https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2022/seisansei.html)が、
「交易条件」が政府のマクロ政策上注目されてこなかったため、
「交易条件の低下」が実質賃金伸び悩みの主原因であることは注目されてきませんでした。
(私自身、内閣府で賃上げ政策を担当していた際は「労働組合の弱体化」が賃金低迷の要因と見ていました。この考えは今も間違っていないと思いますが、押し下げ要因として記録に残っている以上、交易条件の改善も無視できません)
交易条件の改善策の一つは
「価格競争力や付加価値の高い製品を輸入するのではなく、輸出すること」です。
現在、安保関連物資の”国内回帰”が進められていますが、この取組は正に実質賃金上昇に寄与します。
付加価値の高い最終製品を国内で作り、輸入に頼らなくなる(付加価値の海外への流出を抑制する)からです。
経済界と組合の仲介で賃上げを進めるのと同時にやはり国内で高付加価値品を作る(これまでのように国際分業に偏りすぎない)ことが賃金低迷の打開策になるのでしょう。
今後の国のマクロな動きを注目しています。
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